とどきますか。とどきません。

おそろしいほどDDです

「ギフト」「欲望」「兄弟」「ひまわり」「手を」

ネタバレ配慮なしさよならソルシエ感想。

春から新卒社会人で、研修だりなんだりで予定が立たず4月からのチケットが手元に1枚もないから気合を入れてみてきた「さよならソルシエ」前楽。しばらくこういうの書けないだろうから書いときます。タイトルはすきなMの曲名だよ。

 

 

 

 

 

 

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舞台は19世紀末のパリ。

のちの天才画家フィンセント・ファン・ゴッホとその弟で、画壇界を席巻する天才画商のテオドルス・ファン・ゴッホ。兄と弟、二人のゴッホの確執と宿命、そして絆を描いた奇跡と感動の物語。

生前、1枚しか売れなかったゴッホが、なぜ現代では炎の画家として世界的に有名になったのか…。その陰には実の弟・テオの奇抜な策略と野望があった!

原作は「このマンガがすごい!」2014年オンナ編で堂々の1位を獲得した作品。

単行本が全2巻で累計発行部数50万部を突破し、20~30代女性から熱い支持を得ている大人気漫画「さよならソルシエ」。

原作には描かれていないミュージカル版だけのオリジナルキャラクターも登場。

“ふたりのゴッホ”の物語がピアノと歌で紡がれる。

 

 初演のダイジェスト

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今回の稽古動画。みてください!!!!!!初演の時もこういうのあったんだけど、いつの間にか消えていたのでそのまえにぜひみてください!!!!!

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 無色透明をかけあわせたら、あの力強いひまわりの黄色になったような、どうしようもない憎悪とか嫉妬とかが入り混じる中でも儚く深くて、でも浅瀬をずっと漂っているような・・・っていうようなポエムを書いてしまうような作品。

 

全体的に初演は淡々と進んでいくのに比べて、今回の再演はくすっとくるアドリブ部分がちょこちょこ追加されていて、人間らしさが増した印象(これには、シオンとは違う反橋さんのアンリへのアプローチが大きかった)だけど、全体を見るとより洗練されていてまとまっていた印象。はじまりも、テオの登場から始まる初演のほうが世界観に入りやすいし見やすいしわかりやすい。

 

 

 アンリやエミールといるときの精神年齢が下がっていたというか、画商としてではなく、4人と同じ目線に立っていてその中心人物感が強くなっていた。初演はキレキレのカリスマ性だけでそこにいたような印象だったけど、今回は雰囲気が柔らかくなっていて、4人との関係性が近くなっていたようにみえた。ここは完全にキャスト変更がもたらした受け取る側の変化だと思う。

 

フィンは、兄らしさが増したというかテオに対して諭すようななだめるような話し方や歌い方になっていたのが印象的だった。

M10「兄妹」とM12「手を」はとくにその印象が強くて、「兄弟」の音程の変化が、下からゾクゾクとあがってくる感じが、フィンセントの目覚めというか、テオの台詞である「一歩間違えたら本当に打つ目をしていた」っていうテオの言葉に当てはまる音になっていた。「手を」は5歳の泣きじゃくる弟にあれやこれやして陽気になだめている8歳の兄にみえた。「本当のギフトは君だったんじゃないかな」の言い方と去り方の初演との違いは、個人的に、初演は酒場でテオに手紙を書いてるフィンセントがテオに語り掛けていて、再演は死んだフィンセントが空から書いた手紙を思い出しながら独り言を言っていたように感じた。あんな言い方されたらそりゃテオ泣くよ・・・。

 

 初演のジェロームは高貴で崇高で、片手間でちょっとテオいびっとくかくらいの印象だったけど、今回は教会で一方的な暴力振るうのがお似合いのプライドが高い人間だった。わたしがいった回は泉見さんが不調だったのにもかかわらず圧巻の歌声でした。M9「欲望」の「まだある まだある」の部分はライブ会場で重低音が心臓に響くあの感じを歌声だけで感じたさすがマリウス。

 

 

  • ピアノ

youtubeにもあったように作中すべての音がピアノ一本で表現されていて、ピアノの音の重みと弾み方がソルシエの世界観にぴったりで西田さんとかみむらさん天才。

M4「ドービニの猫」の歌いだしのところで、江草さんが椅子から腰を上げて体の状態を右にずらして(ゴーギャンの立ち位置の陰になっていて見えにくい)、フィンセントの筆の動きを見ているのを見て、「ああこれは数歩先で行われているものなんだ」と現実に引き戻してくれる感じがあって、とてもよきでした。

 

 「そんな毒みたいなもの飲めるか」って言ってたテオがアブサン(アブサント)飲み干すところは、いろんな角度からの解釈と思いが交差していて、テオが階段から一歩降りたとも上がったとも死んだとも生まれ変わるとも捉えられるけど良知さんの解釈教えてほしい!!!アブサン飲んだことあるけどあれほんとうに毒だよ!!!消毒液よりもひどかったアンモニアみたいな感じだった。

 

  • アンサンブル

アンサンブルの方々がすばらしかった。パン屋とマルクスのアンサンブルの方が初演と同じなのがよかった。初演よりも踊れる方が多かった印象で、「ドービニの猫」で絵の具の妖精みたいなダンサーの青い方の踊りがとても好みでしたどなただろう。初演のDVDメイキングで「これが初舞台です」って言ってた男の子が今回もいて、かわいらしいお顔でスタイルいいなあって思わず目で追ってたらまさかのCandy Boyでした。きみ朗読してる子のあの中にいたんだね・・・。

 

  • 照明

わたしがいちばんすきな照明の使い方は「LILIUM」なんですけど、ソルシエの照明の使い方は末満作品とはまた違うシンプルかつ印象的でピアノの音と絡み合うような照明だった。

 

  • 余談

テルマ節あるかなーどうかなーと思ったらやっぱりちょっとあった。テルマの乾先輩の抑揚のつけ方に驚いたあの頃が懐かしい。

二幕始まってからの会場の嗚咽のシンクロ率すごかった。内容知ってるし泣かないだろうと思って準備怠った自分にパンチ。

 鈴木拡樹がフィンセントで安西の慎太郎がテオをやった「僕のリヴァ・る」買うか検討中。

初演と比べてセットがハコの関係上きゅっとなってて、candyboyが腕を折られるシーンなんかは見やすくなっててよかった。

 

 うれしいけどモンマルトル席の価値なくなるじゃないか!!!

 

 

 

 

 

 

まあ当たり前なんだけど演出が変わっているところがあって、それがどれもいい方向に矢印の向きを直すイメージの調整で、変更されたところはそこまで多くないのにこんなにも見やすくわかりやすくなるのは西田さんさすがやなと思うけどいまのとこ西田さんとはそこまで相性よくないから「推しや担当だけじゃまわらないはなし」でも言ったようにやっぱり平野良がすきなんだとおもう。

 

 

再演のDVD化の予定はなく3月25日からGYAO!での配信があるらしいのでぜひお願いします。

 

gyao.yahoo.co.jp